ベガルタ仙台特集 VOL.7~新しいスタイルの確立へ ~17-19シーズン

仙台のプロサッカーチーム「ベガルタ仙台」が2019年に創立25周年を迎えました。
地元密着のチームとして25年歩んできた足跡を特集していきます。
ラストは渡邉監督の17~19シーズンを振り返ります。

~第7章 ベガルタ仙台のこれから「立ち位置」~

17シーズン


(17シーズン ベガルタ仙台 メンバー )

渡邉体制4年目。
それまでの「ベガルタ仙台=堅守速攻」のイメージを脱却した新たなるチャレンジをスタートしたシーズンだった。
法政大から左足の高精度のクロスとロングスローが持ち味のDF 永戸 勝也が新加入。FC東京から「怪物」FW 平山 相太が完全移籍、柏レイソルから激しいマンマークと足元の技術が高いDF 増嶋 竜也、浦和レッズから「収める」、「抜け出す」、「周りを活かす」万能FW 石原 直樹、川崎フロンターレから独特のテンポで左サイドを攻略するMF 中野 嘉大、ポルトガル・SCブラガからゴール前での閃きが冴えわたるFW クリスランがそれぞれ期限付き移籍加入。松本山雅FCへ期限付き移籍していたシュミット・ダニエルが復帰。また、前年に期限付き移籍で仙台へ加入した三田啓貴と平岡康裕がともに完全移籍に移行。
各ポジションに柱となる選手を獲得し、それまで慣れ親しんだ「4-4-2」システムから「3-4-3」システムへ移行し、それぞれのポジショニングと立ち位置を意識したポゼッションサッカーにシフトチェンジを図る。

リーグ戦では第4節柏戦で、J1通算100勝を達成するが、その後3連敗を喫するなど、リーグ戦序盤戦から不安定な戦いが続き、新しいスタイルへのシフトチェンジの影響が如実に表れていたが、渡邉監督はチャレンジし続ける選択を行い、第13節ホームでのアルビレックス新潟戦でのクリスランの決勝ゴールは月間ベストゴールに選ばれるなど、戦術と選手が、見るものをワクワクさせるようなゲーム展開を繰り広げた。リーグ戦中断期間の7月に名古屋グランパスから豊富な運動量と高速クロスが持ち味のMF 古林 将太が期限付き移籍で加入、フォーメーションの変更から出場機会を失ったDF 石川直樹が札幌へ完全移籍するなど、これまでのロングボール主体のチーム戦術から、ショートパスによるポゼッションサッカーに様変わりしていく様子がシーズン中からも明らかになっていく。
しかし、チームとしての安定感はなく、最終成績は11勝8分15敗の勝ち点41で12位でフィニッシュ。

シーズン一番の見どころはYBCルヴァン杯(旧・ナビスコ杯)でのチーム初のベスト4進出が上げられる。グループステージ第1節のFC東京戦で0-6の大敗を喫するも、その後、4勝1分と持ち直し、A組1位(勝ち点13・得失点差0)でノックアウトステージに進出。ノックアウトステージ・準々決勝では鹿島と対戦し、1勝1敗も2戦合計スコアで上回り、チーム初のベスト4進出を果たす。準決勝では川崎と対戦。ホームでの第1戦を3-2で勝利するも、続くアウェーでの第2戦を1-3で落とし、2戦合計4-5で敗退。決勝進出はならなかった。なお、FW 西村拓真が同大会のニューヒーロー賞を獲得した。

シーズン終了後、GK 石川 慧が栃木SC、中盤のキープレイヤーだったMF 三田 啓貴がヴィッセル神戸へそれぞれ完全移籍。この他、DF 増嶋 竜也とFW クリスランが期限付き移籍期間満了、MF 野沢 拓也がともに契約満了となり退団。また、DF 小島 雅也が町田、MF 藤村 慶太が金沢へそれぞれ期限付き移籍。盛岡へ期限付き移籍していたMF 差波 優人が富山、徳島へ期限付き移籍していたMF 佐々木 匠が讃岐へそれぞれ期限付き移籍し、新しいスタイルの確立へ手ごたえを感じたシーズンだった。

永戸 勝也 石原 直樹 増嶋 竜也 クリスラン 佐々木 匠
中野 嘉大 椎橋 慧也 野津田 岳人 古林 将太

18シーズン


(18シーズン ベガルタ仙台 メンバー )

渡邊体制5年目。
昨年のシフトチェンジしたポゼッションサッカーを更に磨きを掛けるために、流通経済大から快速FW ジャーメイン良が新加入、また、ガンバ大阪から空中戦に強いDF 金 正也、アルビレックス新潟からハイボール処理に定評のあるGK 川浪 吾郎、FC岐阜から展開力に優れたMF 庄司 悦大、韓国・蔚山現代からセカンドトップで抜群の存在感を見せるFW 阿部 拓馬がそれぞれ完全移籍で、川崎フロンターレから東京五輪代表候補 MF 板倉 滉が期限付き移籍で加入した。また、前年にサンフレッチェ広島から期限付き移籍で加入したMF 野津田 岳人が移籍期間を延長し、MF 中野 嘉大、MF 古林 将太、FW 石原 直樹がそれぞれ完全移籍に移行し、昨年の主力がほぼ残留し、戦力的には上乗せができた一方で、同シーズンの契約更新が発表されていたFW 平山 相太が、キャンプイン後に現役引退を表明し退団するなど、前線の選手の手薄さが感じられるシーズンインだった。

リーグ戦では昨年のベースであった「3-4-3」のフォーメーションと、中盤でのポゼッションと守備に重きを置いた「3-5-2」を使い分け、開幕5試合を無敗(3勝2分)と幸先良いスタートを見せるが、シーズン序盤に「3-5-2」の「5」の部分のサイドプレイヤーの負傷離脱が相次いだことから、昨季までC大阪に在籍していたMF 関口 訓充が6シーズンぶりにチームに復帰。また、ヴィッセル神戸へ移籍したMF 三田 啓貴の後釜候補であった庄司が負傷離脱したため、ガンバ大阪からリオ五輪代表で、優れたテクニックと正確なキックを持つMF 矢島 慎也を獲得。その後、庄司は京都サンガへ期限付き移籍となる。
そして、最前線では平山の引退で空いた枠にヴィッセル神戸からエリア内で抜群の存在感を放つFW ハーフナー・マイクを獲得し、足元のクロス以外の空中戦のオプションも組み込み、攻撃に厚みを持たせた。また、昨シーズンの勢いをそのまま保ったFW 西村が爆発し、24試合で11得点とゴール量産し、ロシアのPFC CSKAモスクワへ完全移籍を果たす。クラブ生え抜き選手として初の海外移籍となった。

西村の退団を受け、前線での決定力不足が如実に表れだすと、チームの動きは早く、前々年まで在籍していたハモン・ロペスを完全移籍で復帰させ、シーズン途中での補強もしっかりと行うものの、終盤になり失速し、最終的には13勝6分15敗(勝ち点45)の11位でフィニッシュ。

昨シーズン初のベスト4だった YBCルヴァン杯は、グループステージを3勝2分1敗の勝ち点11・得失点差+4で2年連続の1位通過。プレーオフステージ で湘南と対戦し1勝1敗となるも、2戦合計スコア3-4で敗退。

天皇杯はラウンド16のザスパクサツ群馬を4-0で退け、勢いそのままに2度目のベスト4進出。
準決勝は聖地ユアテックスタジアム仙台でモンテディオ山形とのみちのくダービーで行われ、食らいつくモンテディオ山形を3-2と退け、クラブ史上初の決勝へ進出。
決勝は埼玉スタジアム2002にて浦和レッズと対戦。前半に浦和MF 宇賀神の見事なシュートが決まり先制を許す。その後、果敢に攻め込むも1点が遠く準優勝となるが、昨年のルヴァン杯ベスト4に引き続き、初の天皇杯準優勝となった。

シーズン終了後、16年間チームに在籍し、「何でそこにいるんだ攻撃」が持ち味だったMF 菅井 直樹が引退。この他、クラブ生え抜きであり、「ミスターベガルタ」の7番を引き継いだMF 奥埜 博亮がセレッソ大阪、MF 古林 将太が湘南ベルマーレ、MF中野 嘉大 が北海道コンサドーレ札幌へそれぞれ完全移籍。期限付き移籍で加入していたハーフナー、野津田、矢島、板倉、ラファエルソンがそれぞれ期間満了で退団。また仙台から他クラブへ期限付き移籍中の庄司、藤村、茂木が完全移籍に移行し正式に退団。富山へ期限付き移籍していた差波優人も契約満了により退団(移籍先の富山も退団)。また、町田へ期限付き移籍していた小島雅也が金沢、讃岐へ期限付き移籍していた佐々木匠が山口へそれぞれ育成型期限付き移籍した。 

阿部 拓真 板倉 晃 ジャーメイン 良 川浪 吾郎 金 正也

19シーズン


(19シーズン ベガルタ仙台メンバー )
渡邉体制6年目。
昨シーズンの主力の退団に伴い、V・ファーレン長崎から豊富な運動量を誇るMF 飯尾 竜太朗、北海道コンサドーレ札幌から経験豊富なMF 兵藤 慎剛、ヴィッセル神戸から左利きでゲームメイクを得意とするMF 松下 佳貴、松本山雅FCから左サイドからのカットインを得意とするMF 石原 崇兆、ヴァンフォーレ甲府から仙台ユース出身のMF 道渕 諒平、ヴィッセル神戸から長身ながら足元の技術に優れるFW 長沢 駿、ラ・リーガでのプレー経験もある元モザンビーク代表のDF シマオ・マテが完全移籍、横浜FMから左利きの攻撃センスが光るMF 吉尾 海夏が期限付き移籍、桐生第一高から田中渉、成立学園高から照山颯人がルーキーで新加入した。

リーグ戦は、昨年から選手の大幅な入れ替わりと、築き上げたポゼッションサッカーに各チームの分析が進み、第4,5,13節終了時は最下位に沈む。また、シーズン途中に正GK シュミット・ダニエルがベルギーのシント=トロイデンVVに移籍。その後釜にシロンスク・ヴロツワフ(ポーランド)からポーランド代表経験もあるGK ヤクブ・スウォビィクを獲得、シーズン目標を現実路線の「J1残留」に切り替え、システムを4バックに、次いで堅守速攻の戦術に変更。新加入したシマオ・マテと平岡の補完性の高いセンターバックが当たると共に、左サイドバックの永戸 勝也がアシストを量産(公式記録とはならないが、リーグ最多の10アシスト)するなどして復調。また、中盤のテコ入れに北海道コンサドーレ札幌からMF 中原 彰吾が完全移籍加入。
最終的には12勝5分17敗(勝ち点41)の11位でJ1残留の目標を達成。
ルヴァン杯は、グループステージを3勝3分0敗の勝ち点12・得失点差+4で3年連続の1位通過。プレーオフステージで名古屋と対戦し1勝1敗となるも、2戦合計スコア1-2で敗退。 天皇杯はラウンド16(4回戦)で前任監督の手倉森監督率いる長崎に敗れた。

シーズン終了後、6年間指揮を執り、現役時代から含めると19年間在籍した渡邉監督が退任。選手では16年間在籍し続けた「仙台の太陽」とも言われたMF 梁 勇基がサガン鳥栖、加入後に仙台の中心で居続けた主将のDF 大岩 一貴およびFW 石原 直樹が湘南ベルマーレ、リーグ最多アシストを決めたDF 永戸 勝也が鹿島アントラーズ、シーズン中、ケガに泣いたFW 阿部 拓馬が琉球、金沢へ期限付き移籍していたDF 小島 雅也が群馬へそれぞれ完全移籍。横浜FMからの期限付き移籍でプレーしていたMF 吉尾 海夏は町田へ期限付き移籍。ハモン・ロペスは契約満了により退団した。

渡邉監督の新たなるチャレンジは19シーズン途中で原点回帰してしまったが、これまでの仙台にはなかったスタイルを構築し、地方チームであっても見るものをワクワクさせるサッカーを展開してくれた功績は非常に大きく、これらは20シーズンから就任した、前モンテディオ山形監督であった木山監督へバトンが引き継がれることとなる。

松下 佳樹 道渕 稜平 兵藤 慎剛 シマオ・マテ ヤクブ・スウォビイク
まとめ

VOL.7まで続いた企画もこちらで最終回となります。
今後のベガルタ仙台の活動は地域と共に発展しており、筆者自身は震災後の11シーズン、優勝争いをした12シーズン、直近での17~19シーズンには思い入れが強く、サポーターと共に強くなれるチームだと感じています。
こちらの作成・展開にあたり、ご理解と多大なご協力頂きました「株式会社ベガルタ仙台」の皆さまには感謝致します。

写真提供 ベガルタ仙台

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