萩の豪商、熊谷家『熊谷美術館』


「高杉晋作は、幕末の活動資金を借りるために、よく来ていたみたいですよ・・・
酒宴のときにはよくそこに座っていろんなお話をされていたそうです」

そんな驚く話が満載!
萩藩の藩政の後押しをしていた豪商熊谷(くまや)家を紹介します。

萩の豪商「熊谷家」、『熊谷美術館』について

『熊谷美術館』は歴代当主が収集した美術品や文書類などの保存・公開を目的に昭和64年(1965年)開館。
長崎で親交のあったドイツ人医師シーボルトから贈られた日本最古のピアノは必見の価値があります。
主屋・離れ座敷・宝蔵・本蔵は国の重要文化財に指定されています。

大阪の豪商「加島屋」との絆を物語る灯篭と家紋

NHK連続テレビ小説「あさが来た」の加野屋のモデルとなった大阪の豪商「加島屋(かじまや)」
萩の豪商「熊谷家(くまやけ)」が江戸時代、共に萩藩を支え、密接な関係だったことを紹介します。

参勤交代の膨大な経費や、災害などによる米不足、江戸時代、萩藩は慢性的な財政難に苦しみました。
そこで藩内の有力町人の育成を図ろうとして着目したのが、商人・熊谷五右衛門芳充(ごえもんよしみつ 1719~1791年)でした。

藩が必要とする米や銀を調達、藩からは年貢米を担保とした支払いを受けると共に短期の貸し借りによる高い利子を得て「大名貸」として急成長します。
また、大阪の豪商との交渉に関わり、「加島屋」と密接な関係を築いていきました。

加島屋の5代目当主・広岡九右衛門正房が萩に来ることになり、滞在中の接待役を命じられた芳充は持ち家を改造し、建具や道具も新調。丁重なもてなしに感激した正房からは、石灯籠一対と、広岡家を象徴する家紋まで贈られ、両家は兄弟の契りを結びます。
大阪へ送るべき米が不足し「内密に大阪で買い集める」という藩からの難題も、加島屋に相談したところ、米と引き換えに必要な倍の銀を借用することができ、使命を立派に果たします。

こうして両家は、この後も藩を支えていきました。

萩藩を支えた熊谷家の気風と、シーボルトのピアノ

江戸時代後期の4代目当主・五右衛門義比(よしかず)は、行動力と旺盛な好奇心を持った人物でした。
西洋の書籍や薬・器物を収集する一方、藩や知人へも貸与・提供し、蘭学者の勉学も支援。
晩年には村田清風の藩政改革にも協力しました。

そんな義比が文政8年(1825年)、長崎へ行ってオランダ商館のドイツ人医師シーボルト(1796~1866年)の診察を受けたことから、交流が始まりました。このことはシーボルトの『江戸参府紀行』に記されています。

ところが文政11年(1828年)、シーボルトが帰国の際、国外持ち出しを禁じられていた日本沿海実測図などを荷に入れていたことが発覚。シーボルトは国外追放、多くの蘭学者が処罰された、シーボルト事件が起きます。その少し前、シーボルトは義比に「ポルトピアン」という愛用の楽器を贈っていました。

事件の背景からこの楽器は蔵の中で眠っていましたが、昭和30年(1955年)、蔵の中から発見され、
日本最古のピアノ(イギリス製のスクエアピアノ)であることが判明しました。

貴重なコレクション

シーボルトのピアノ

長方形のテーブル型の、本体に6本の脚が付いたピアノ。

今では製造されなくなったイギリス製のスクエアピアノで、
親交のあった4代目当主・熊谷五右衛門義比へ贈られた、日本最古のピアノ。
※日本ピアノ調律師協会調べ平成30年(2018年)2月現在

シーボルトのサイン


ピアノ内部に記された、シーボルトのサイン部分((公財)熊谷美術館蔵)
「我が友クマヤへ別れのために ドクトル・フォン・シーボルト 1828」

熊谷家歴代当主が収集した美術品や文書類

シーボルトから贈られた切子のグラスや、オランダ商館長から贈られた、コーヒー茶碗なども現存する。


↑(上段)左:主屋 右:宝蔵前の灯篭 (下段)左:家紋 中央:庭 右:鬼瓦

萩藩御用達筆頭 萩の豪商「熊谷家」

「熊谷家住宅」の主屋正面と加島屋から贈られた宝蔵前の灯篭。

加島屋から贈られた家紋

ツタの縁を白抜きにした「中陰蔦(なかかげづた)」
現在も熊谷家・加島屋、両家の子孫に受け継がれている。

熊谷家住宅

国指定重要文化財「熊谷家住宅」は大規模できわめて質がよく、江戸時代後期における地方豪商の富を示す建物のよい例である。

鬼瓦

熊谷家住宅の屋根に掲げられた、中陰蔦の家紋が入った鬼瓦。

まとめ

取材中は、現当主 江口様からさらりと聞かされる話に、「エーーーッ」 の連発でした。
当時のたたずまいの屋敷や蔵は、タイムスリップしたかのよう。

その中で 代々語り継がれる話を聞くと、人間味あふれる志士たちの様子が浮かび上がります。
是非、ご来館ください。

協力・画像提供:熊谷美術館(公益財団法人)※全ての写真の無断転載・複製を禁じます。

名称  熊谷美術館(公益財団法人)
住所  山口県萩市大字今魚店町47
電話番号  0838-22-7547
開館時間  9:00~16:00
休館日 月・水・金曜日(但し、祝日は開館)
URL https://itp.ne.jp/info/354251803400000899/
地図  

 

関連記事

  1. やまぐちハートのある風景(春日神社)

  2. 長門路SNS映えスポット 元乃隅神社(旧:元乃隅稲成神社)

  3. 長門路SNS映えスポット 赤田海水浴場

  4. 長門路SNS映えスポット 東後畑棚田

  5. 長門路SNS映えスポット 千畳敷

  6. ドローン空撮で見る!ぜひ訪れてほしい山口県に架かる橋4選

  7. 『マイマイ新子と千年の魔法』ロケ地ガイド17選

  8. パワースポット 防府天満宮

人気記事ランキング

  1. 周南コンビナート
防災タウンページ
PAGE TOP