ベガルタ仙台特集Vol.4 ~再昇格を目指して~ 08~10シーズン

仙台のプロサッカーチーム「ベガルタ仙台」が2019年に創立25周年を迎えました。
地元密着のチームとして25年歩んできた足跡を特集していきます。
第4弾はコーチとしてチームを支えた手倉森監督の08~10シーズンを振り返ります。

~第4章 手倉森監督の就任~

08シーズン


(08シーズン ベガルタ仙台 メンバー )

ヘッドコーチの手倉森誠を監督、双子の弟 浩をヘッドコーチと手倉森兄弟体制で挑んだ08シーズン。
手倉森監督は就任会見で「5年後にはACLに出場できるチームを作りたい」と力強く宣言し、ヴィッセル神戸から優れた技術を誇る元日本代表 FW 平瀬 智行(後のベガルタ仙台クラブコーディネーター)、柏レイソルから右足から繰り出す正確無比なパスが得意なMF 佐藤 由紀彦など実績のある選手を獲得しつつ、明治大からGK 関 憲太郎、筑波大からMF 三澤 純一、東京ヴェルディからDF 一柳 夢吾などの若手の獲得し、
チームの底上げとなる補強を行う。
第1クールは3位で折り返すなど好調を維持していたが、第2クール以降の決定力不足が如実にみられると、水原三星から、韓国Kリーグで初の外国人MVPのFW ナジソン、京都サンガから中盤での守備と展開力に長けたMF 斉藤 大介を獲得。
シーズン終盤にはどうにか持ち直し、最終節の草津戦に勝利し、年間3位を確定させ、J1 16位のジュビロ磐田との入れ替え戦に臨む事となる。
入れ替え戦のホーム初戦はナジソンのゴールで先制するも、磐田のMF 松浦にアウェイゴールを決められ、1-1の引き分け。続く、アウェイ2戦目にも松浦に2得点を許し、47分に梁が意地の直接FKを決めて、2-1とするも力及ばず昇格を逃した。この年は、ファウルの数が年間通して少ないチームに送られるフェアプレー賞を受賞。
シーズン終了後に、DF 岡山 一成、GK シュナイダー潤之助、FW ナジソンが退団。手倉森監督は次シーズンも続投となり5年ぶりの監督交代の無いシーズン終了を迎えた。

手倉森 監督 平瀬 智行 斉藤 大介 ナジソン

09シーズン


(09シーズン ベガルタ仙台 メンバー )
手倉森体制2年目を迎え、昨年の主力のほとんどが残留し、モンテディオ山形から安定したセービングを見せるGK 桜井 繁、横浜FCからフィジカルの強いDF エリゼウ、韓国 水原三星から鋭いセンタリングを得意とする左SB 朴柱成を獲得し、ディフェンスラインを強化。
また、オフェンスの強化として、ブラジル ポンチプレッタから鋭い抜け出しが得意のFW マルセロ・ソアレスを獲得し、手堅いカウンターでのサッカーを展開するチーム作りに着手。
手倉森監督の構築したチームは、第2クールまで2位で折り返し、39節 福岡戦に負けてからは無敗をキープし、48節 水戸戦での勝利を収め、昇格条件である年間順位3位以内が確定。続く49節 首位であるC大阪戦では終了間際に朴柱成が本人があまり得意では無いというヘディングシュートを決め、劇的な勝利で首位に浮上。最終節 愛媛戦で引き分けたものの、2位のC大阪が鳥栖に敗れたためにJ2優勝を飾る。
また天皇杯では、準々決勝で圧倒的な攻撃力を誇る川崎フロンターレを延長戦の末、平瀬 智行の決勝ゴールで破るジャイアントキリングを起こし
初のベスト4進出と躍進を遂げる。
このシーズンのチームとしては、J2歴代最多勝ち点106点、ホーム23戦無敗、ホーム12連勝、昨年に続くJ2フェアプレー賞受賞とチェアマン賞の受賞。個人では中原 貴之がJ2新記録の途中出場4試合連続ゴールを決めるなど、J1昇格以外にも記録尽くめのシーズンとなった。

エリゼウ マルセロ・ソアレス 朴 柱成 中原 貴之

 

10シーズン


(10シーズン ベガルタ仙台メンバー )
ついにJ1再昇格を果たした手倉森体制3年目。
それまで、期限付き移籍の延長だった守護神 GK 林 卓人が完全移籍に移行。柏レイソルからディフェンスラインの統率に優れたDF 鎌田 次郎、サガン鳥栖から豊富な運動量とミドルシュートを得意とするMF 高橋 義希、昨年の7月までジュビロ磐田に在籍し、推進力のある縦への突破が魅力のMF 太田 吉彰、大分トリニータから個の力で局面を打開できるMF フェルナンジーニョが完全移籍で加入し、J1残留に向けた補強を行う。
3連覇中の鹿島アントラーズを破るなど、開幕スタートを上々に切ることが出来たが、6節 清水エスパルスに1-5の敗戦、続くホームでの7節 ヴィッセル神戸に0-1で敗戦(ここで昨年からのホーム連勝記録がストップする。)をきっかけに、以降、20節大宮アルディージャ戦までの14試合未勝利とJ1残留に赤信号が灯る。
しかし、中断期間中に得点力UPを目的にとして韓国 太田シチズンよりFW 朴 成鎬、FC東京よりFW 赤嶺 真吾が期限付き移籍で加入。特に赤嶺の加入は大きく、前線のボールを収める起点となり、自らも得点を重ね、20節以降は7勝を挙げ、最終節で辛くも残留を決める。

また、この年に行われた南アフリカW杯の北朝鮮代表候補にMF 梁 勇基が選出されるが、惜しくも最終メンバーからは漏れてしまい、帯同メンバーとして参加。
W杯以降の日本代表に仙台生え抜きの選手で初めて、MF 関口 訓充が選出され、10月8日のアルゼンチン戦で代表デビューした。

シーズン終了後、「Mr.ベガルタ」ことMF 千葉 直樹、「平瀬塾 塾長」ことFW 平瀬 智行の二人の偉大なベテランが引退。MF フェルナンジーニョ、永井 篤、FW 朴 成鎬が期間満了で退団。DF エリゼウは徳島へ完全移籍となった。

鎌田 次郎 髙橋 義希 フェルナンジーニョ 太田 吉彰 赤嶺 真吾
まとめ

本記事では、手倉森監督の就任から3シーズンの08年から10年までを振り返ってみました。
次章では「東日本大震災の発生 ~復興のシンボルとして~」をご紹介いたします。

写真提供 ベガルタ仙台

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