ベガルタ仙台特集Vol.6~新たなチャレンジへ~14-16シーズン

仙台のプロサッカーチーム「ベガルタ仙台」が2019年に創立25周年を迎えました。
地元密着のチームとして25年歩んできた足跡を特集していきます。
第6弾はグラハム・アーノルド監督と渡邉監督の14-16シーズンを振り返ります。

~第6章 新しいスタイルの確立へ~

14シーズン



(14シーズン ベガルタ仙台 メンバー )
手倉森監督が、リオ五輪U23日本代表監督に就任したため、後任監督としてオーストラリア代表監督やヘッドコーチを歴任したグラハム・アーノルドが就任。
オーストラリア代表スタッフ時代の、フース・ヒディングやピム・ファーベクと言ったオランダ人監督の好む攻撃サッカーの影響が強く、攻撃志向のチーム編成に着手。昨年までのベースの「堅守速攻」からの転換を図る。
新加入選手として、阪南大学から特別指定選手として登録のDF 二見 宏、中央大学から東北学院高校出身のGK シュミット・ダニエル、駒沢大学からFW 山本 大貴など大卒ルーキーを中心に、ガンバ大阪から中盤のバランサーとしてMF 武井 択也、大宮アルディージャから驚異の左足のキック力を誇り「ノリカル」の異名を誇るMF 鈴木 規郎を完全移籍で獲得し、アーノルド監督が指揮を執っていたセントラルコーストから、MF マグリンチィ、清水エスパルスからワンタッチプレーでテンポを創るMF 八反田 康平を期限付き移籍で獲得。昨シーズンまでゴールマウスを守り続けた GK林 卓人のポジションは長年ポジション争いを続けたGK 関 憲太郎が引き継ぐこととなり、ほぼ昨シーズンの戦力で14シーズンは戦うこととなった。

アーノルド監督が施行したショートパスからの攻撃的なスタイルの転換は、これまでのスタイルと対極のためか、戦術浸透もうまく進まず、リーグ開幕戦のアルビレックス新潟ではホームで1-2で敗戦。
そこから、立て直しを図るもののリーグ結果は0勝4敗2分の17位の自動降格圏内に落ち込んだ結果から、双方合意の下、シーズン序盤の4月9日をもって退任。

後任にはヘッドコーチを務めていたOBの渡邉晋が監督に就任。
渡邉監督は、残留に向けたチームの再建として、昨年のベースだったカウンター主体に回帰し手堅く勝ち点を取るスタイルに移行した。
ブラジルW杯の中断前には4連勝を収め、順位を11位まで持ち直して降格圏から脱出。
そして、中断期間から前半戦の折り返しの間に、前線の補強にウクライナのルーツィクから、MF ハモン・ロペス、鹿島アントラーズからひらめきと天才的なテクニックでゲームを操るMF 野沢 拓也、けが人の多かったSBに大宮から8年ぶりの復帰となる DF 村上 和弘を獲得し、残留へ向けての体制を整えた。

中断後は5連敗を喫するも、獲得した野沢、村上や柳沢のベテラン勢の力もあり、辛くも残留を果たす。渡邉監督就任後のリーグ結果は9勝10敗9分、チームとしては9勝14敗11分 勝ち点38の14位。
昨年の失速から再起をかけた1年目は、辛いシーズンとなった。

シーズン終了後は、ベテランとしてチームをけん引したFW 柳沢 敦が引退。DF 鈴木 規郎が契約満了、MF八反田 康平とDF石川 大徳が期限付き移籍期間満了によりそれぞれ退団。FW武藤 雄樹が浦和レッズ、守備の要だったDF 角田 誠が川崎フロンターレ、DF 渡辺 広大が山形、FW 赤嶺 真吾がG大阪、MF 太田 吉彰が磐田、FW 中原 貴之が福岡、GK桜井 繁が栃木SC、MF佐々木 勇人が京都へそれぞれ完全移籍。
2012シーズンの優勝争いを演じた主力が移籍していく、寂しいシーズンの終了となった。

アーノルド監督 シュミット・ダニエル 渡邉監督 野沢 拓也 ハモン・ロペス 村上 和弘
アーノルド監督 シュミット・
ダニエル
渡邉監督 野沢 拓也 ハモン・ロペス 村上 和弘

15シーズン


(15シーズン ベガルタ仙台 メンバー )
渡邉監督がシーズン開幕から指揮を執ることとなったシーズン。
昨年の残留争いから抜け出し、順位アップのために守備のセンターラインのテコ入れとして、柏レイソルから空中戦の強いDF 渡部 博文、GKに横浜FMから六反勇治、松本山雅FCからDF 多々良敦斗を獲得。ガンバ大阪へ移籍した赤嶺の後釜にジュビロ磐田からFW 金園英学、高い技術と戦術眼を持つMF金久保 順を大宮アルディージャから獲得し、前線には機動力を重視した補強を行う。また、高校選手権優勝の富山一高からFW西村 拓真、ユースから茂木駿佑と次世代を担う若手の獲得も行い、長期的なチーム構成を視野にいれたチーム編成を行う。

このシーズンから2ステージ制が復活し、開幕5試合を2勝3分と好調なスタートを切ったが、エースFWのウイルソンがケガで離脱するなどのアクシデントもあり、第1ステージは6勝5敗5分の7位と中位につける。
しかし、第2ステージでは3連敗を3度喫するなど不安定な戦いを続け、3勝11敗3分の16位となるが、第1ステージの貯金で年間順位は14位となり、J1残留となる。

シーズン終了後、昨シーズン復帰したDF 村上が現役を引退。DF 上本がV・ファーレン長崎、FW 山本とMF 武井が松本山雅FC、DF 鎌田が柏レイソル、DF 多々良敦斗が千葉へそれぞれ完全移籍、GK シュミット・ダニエルは松本山雅FCへ期限付き移籍した。

渡部 博文 六反 勇治 西村 拓真< 茂木 駿佑
渡部 博文 六反 勇治 西村 拓真 茂木 駿佑

16シーズン


(16シーズン ベガルタ仙台メンバー )

渡邉監督 3シーズン目。
以前の堅守を復活させるために、清水エスパルスから空中戦に強いDF 平岡 康裕、ジェフユナイテッド千葉・市原から高い身体能力を誇るDF 大岩 一貴を獲得。FC東京から中盤でのゲームメイクに長け、セットプレーのキッカーも務めるMF 三田 啓貴、ジェフユナイテッド千葉・市原からスコットランドのセルティックにも在籍経験のあるMF 水野 晃樹を獲得し、堅い守備と中盤でのボールポゼッションを高めるための補強を行う。
また、ユースから世代別日本代表にも選出されている地元出身のMF 佐々木匠が昇格。青森山田高から常田克人、市立船橋高から椎橋慧也が入団し、ベガルタの次世代を担う逸材が加入。

リーグ戦第1ステージは序盤に4連敗を喫し、スタートダッシュに失敗。第10節終了時点で降格圏となる17位まで沈む。その後の4連勝するなどの巻き返しを見せ、通算7勝2分8敗(勝ち点23)、得失点差-5の10位。
第2ステージも調子の波が大きい戦いぶりが続くが、第14節の鳥栖戦に勝利してJ1残留が確定。同ステージは通算6勝2分9敗(勝ち点20)、得失点差-4の12位で、年間成績は13勝4分17敗(勝ち点43)、得失点差-9の12位となり、昨シーズンから1つ順位を上げるも、やはりシーズンを通して不安定な戦いを続けてしまい残留争いに巻き込まれるシーズンだった。

シーズン終了後、MF 水野晃樹がサガン鳥栖、12シーズンからFWの柱として活躍したFW ウイルソンがヴァンフォーレ甲府、DF 渡部 博文が神戸、MF キム・ミンテとFW 金園英学が北海道コンサドーレ札幌、杉浦恭平がツェーゲン金沢、六反勇治が清水エスパルス、ハモン・ロペスが柏レイソルへそれぞれ完全移籍し、主力が退団していくシーズンとなった。 

平岡 康弘 大岩 一貴 三田 啓貴

 

まとめ

本記事では、渡邉監督の就任の前半14年から16年までを振り返ってみました。
次章は最終章「新しいスタイルの確立へ ~ベガルタの新しい「立ち位置」~」をご紹介いたします。

写真提供 ベガルタ仙台

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